地球上には、人にはつくることのできない自然環境、また歴史ある建物や珍しい遺跡、景観などがたくさんあります。
その中でも特に優れた「世界中のみんなのたからもの」を守り、ずっと未来まで残していくために、1972年、ユネスコで「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)ができました。ユネスコは、この条約をもとにして未来まで大切に守るべきものを選び、世界遺産リストに登録しています。このリストに登録された建物や遺跡、景観、自然などを「世界遺産」といいます。
日本は、19世紀の半ばから20世紀の初頭にかけて、西洋の技術や機械を取り入れ、驚くべきスピードで産業化を成し遂げました。これほど短期間に産業化が成功したことは、非西洋諸国では初めてのことです。その中心となった産業が、重工業分野における製鉄・製鋼や造船とそのエネルギーとなる石炭産業でした。
産業化の歩みは、西洋の技術本を手本にした鉄製大砲製造への挑戦や洋式船の模倣から始まり、次に外国人専門家から西洋の技術が直接導入されました。その後、国内の人材が育成され、積極的に導入した西洋の技術を国内需要に適合するように改善、改良を加え、工業立国の土台を築きました。
8県11市にまたがる8エリア23の構成資産から成る「明治日本の産業革命遺産」は、世界史における類いまれな産業化の局面を証言する遺産として、2015(平成27)年7月に世界遺産に登録されました。