福岡県内の「明治日本の産業革命遺産」

本遺産群は、8エリア23の構成資産からなり、福岡県には製鉄・製鋼、石炭産業に関する遺産群があります。

三池炭鉱・三池港

構成資産

 三池炭鉱は、高島炭坑に次ぎ、日本で2番目に近代化された炭鉱です。明治政府から払い下げを受けた三井により、イギリスの最先端の排水・巻揚機などの鉱山機械が導入され、大量の石炭を産出しました。また、専用鉄道の開通、三池港の築港が行われ、物流の効率化が図られました。
 明治日本の急速な産業化を支えた三池炭鉱・三池港は、坑口、鉄道、港湾の石炭産業に関わる一連の諸施設が良好な形で現存しており、産業発展の歴史を物語る物証となっています。

三池炭鉱宮原坑

画像:三池炭鉱宮原坑

 1898(明治31)年開坑。年間40~50万トンの石炭を採炭する坑口であったとともに、坑内排水という大きな役割を担っていました。現在は、第二竪坑の施設(現存する日本最古の鋼鉄製やぐら、巻揚機室、デビーポンプ室壁、排水路など)が残っています。

住所
大牟田市宮原町1-86-3
電話
0944-41-2750

三池炭鉱専用鉄道敷跡

画像:三池炭鉱専用鉄道敷跡

 各坑口や工場、港を結び、石炭や炭鉱資材、炭鉱マンやその家族などを運んでいました。1905(明治38)年に全線開通。最盛期には、引込線、支線をあわせ、総延長150 ㎞にも達しました。
※宮原坑等から見学できます。

三池港

画像:三池港

 遠浅で干満の差が大きい有明海で、干潮時でも一定の水位を保てるよう、閘門を備えた港です。1908(明治41)年に築港され、運搬(輸出)の効率が飛躍的に向上しました。今なお福岡県の重要港湾として稼働中です。

ガイダンス施設

画像:大牟田市石炭産業科学館

大牟田市石炭産業科学館

 日本の近代化を支えた三池炭鉱の豊富な資料をはじめ、エネルギー資源について楽しく学べる展示が盛りだくさんです。特に地下400mの坑内を再現した「ダイナミックトンネル」は必見です。

住所
大牟田市岬町6-23
電話
0944-53-2377

官営八幡製鐵所

構成資産

 明治維新後、産業革命の進展に伴う急速な鋼材需要の増加により、銑鋼(せんこう)一貫製鉄所設立の機運が高まりました。日本で最大の石炭算出量を持つ筑豊炭田に隣接していたことや地元の熱心な誘致活動が実を結び、八幡村に製鐵所の設置が決まりました。
 官営八幡製鐵所は、ドイツから最先端技術を導入し、当初、計画通りの生産ができなかったものの、日本の風土にあった高炉の改変や操業方法の改善により、操業開始から10年で事業化に成功しました。その後の3度にわたる拡張計画の実施により、鋼材生産が増大し、日本の重工業化に大きく貢献しました。

旧本事務所

画像:旧本事務所
[非公開施設 写真提供/日本製鉄(株)九州製鉄所]

 官営八幡製鐵所創業2年前の1899(明治32)年に竣工した初代本事務所です。中央にドームを持つ左右対称形の赤煉瓦建造物で、長官室や技監室、外国人顧問技師室などが置かれました。
稼働中の構内にあるため非公開ですが、眺望スペースから外観を見ることができます。

修繕工場

画像:修繕工場
[非公開施設 写真提供/日本製鉄(株)九州製鉄所]

 1900(明治33)年、製鐵所で使用する機械の修繕、部材の制作加工等を行う目的で、ドイツのグーテホフヌンクスヒュッテ(GHH.)社の設計と鋼材を用いて建設された現存する国内最古の鉄骨建造物です。創業から120年以上経過した現在でも、稼働を続けています。

旧鍛冶工場

画像:旧鍛冶工場
[非公開施設 写真提供/日本製鉄(株)九州製鉄所]

1900(明治33)年に、製鐵所建設に必要な鍛造品の製造を行う目的で、修繕工場と同様、ドイツのグーテホフヌンクスヒュッテ(GHH.) 社の設計と鋼材を用いて建設された鉄骨建造物です。製鐵所の拡張にともなって増築・移築された後、製品試験所として使用されました。稼働中の構内にあるため公開されていません。

見学

画像:官営八幡製鐵所旧本事務所眺望スペース

官営八幡製鐵所旧本事務所
眺望スペース

 世界遺産の構成資産「官営八幡製鐵所関連施設」は、現在も操業している製鉄所構内に立地しているため一般には公開されていませんが、官営八幡製鐵所旧本事務所については外観が眺望できるスペースを整備しています。また、場内には解説案内板や創業当時の古写真などを展示しています。VRで旧本事務所の中を歩く疑似体験もできますので、世紀を超えた産業景観とともにぜひお楽しみください。

住所
北九州市八幡東区東田5丁目
電話
093-582-2922

ガイダンス施設

画像:スペースLABO ANNEX(2022年4月28日オープン予定)

世界遺産ビジターセンター
(スペースLABO ANNEX内)

 全国8県11市にまたがる「明治日本の産業革命遺産」の23の構成資産について、大きなモニターに映した映像で分かりやすく紹介しています。旧本事務所・修繕工場・旧鍛冶工場の精巧なジオラマや鉄鉱石なども展示しています。(JRスペースワールド駅から徒歩約10分)

住所
北九州市八幡東区東田2-2-11
電話
093-663-0550

関連リンク

遠賀川水源地ポンプ室

構成資産

遠賀川水源地
ポンプ室

画像:遠賀川水源地ポンプ室
[非公開施設 写真提供/日本製鉄(株)九州製鉄所]

 官営八幡製鐵所の鋼材生産量倍増を目指す第一期拡張計画に伴い、遠賀川から製鐵所へ工業用水を送るため、1910 ( 明治43) 年に操業を開始しました。赤煉瓦造の建屋には、アクセントとして鉱滓( こうさい) 煉瓦が使用され、内部にはアーチ状の柱や円形の窓が配置されています。建設当初はイギリス製の蒸気エンジンポンプと動力源であるボイラーが導入されましたが、その後設備は電動化されました。操業から100 年以上経った現在も変わることなく鉄鋼づくりのための水を送り続けています。
 稼働中の構内にあるため非公開ですが、眺望スペースから外観を見ることができます。

見学

遠賀川水源地ポンプ室
眺望スペース

画像:遠賀川水源地ポンプ室眺望スペース

 遠賀川水源地ポンプ室は、現在も操業している製鉄所構内に立地しているため、一般には公開されていませんが、外観を眺望できるスペースを設置しています。眺望スペースには解説案内板やモニュメントが設置され、近年までポンプ室内で実際に使用されていた電動ポンプも近隣に展示されています。

住所
中間市土手ノ内1-3-1
電話
093-245-4665

ガイダンス施設

画像:遠賀川水源地ポンプ室インフォメーションセンター

遠賀川水源地ポンプ室
インフォメーションセンター

 遠賀川水源地ポンプ室の古写真や復元模型、出土した煉瓦など、詳しい資料を展示しています。また、非公開のポンプ室内部の映像も見ることができます。併設の物産館「新鮮市場さくら館」ではお買い物も楽しめます。

住所
中間市垣生660-1
電話
093-245-4665

関連リンク