開催にあたって
世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は、19世紀の半ばから20世紀の初頭にかけて、製鉄・製鋼、造船、石炭産業という重工業分野において、急速な産業化を進め、日本を世界の経済大国に押し上げた過程を証言する遺産です。石炭産業について着目すると、本県には国内を代表する炭田であった三池炭田、筑豊炭田などがあります。特に三池炭田には「明治日本の産業革命遺産」の構成資産である「三池炭鉱・三池港」があり、広く知られているところです。筑豊炭田は「明治日本の産業革命遺産」の構成資産ではありませんが、国内外の専門家からは筑豊炭田が日本の産業化に貢献した歴史的価値について一定の評価を得ています。このたび、中間市教育委員会及び中間市歴史民俗資料館のご協力のもと、筑豊炭田の一翼を担った中間市を中心とした石炭産業に焦点を当てた企画展を開催することにいたしました。本企画展を通じ、「明治日本の産業革命遺産」に対する理解を深めていただければ幸いです。最後に、今回の企画展に際しまして、ご協力を賜りました関係各位に深く感謝申し上げます。
中間市と中間市歴史民俗資料館
世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の八幡エリアの構成資産「遠賀川水源地ポンプ室」がある中間市は、福岡県の北部に位置し、市域の中央を遠賀川が流れます。面積は約16平方キロメートル、人口は現在約4万人です。北九州市に近く、ベッドタウンとして通勤・通学する人が多くいます。
中間市の歴史は古く、弥生時代には稲作が行われ、中世には宗像氏と麻生氏の所領争いの場となりました。江戸時代には、遠賀川から若松(現北九州市)を結ぶ運河「堀川」が掘削され、福岡藩の物資輸送の重要な拠点となりました。また、明治時代には多くの炭坑が開発され、筑豊の産炭地としての一翼を担いました。
中間市歴史民俗資料館は中間市地域交流センター内にあり、古代の遺跡からの出土品や「堀川」に関する資料、また、石炭産業に関する資料や民具などを収集・展示しています。
石炭産業に関する資料は、道具類や文書類などがありますが、中でも写真類を多く保管していることが当館の大きな特徴です。明治時代の初期から閉山まで、その歴史を克明に捉えた写真類は、本県の石炭産業を理解する上で貴重な資料です。
※本展覧会の資料や写真は、全て中間市教育委員会及び中間市歴史民俗資料館所蔵です。