「日本の産業革命を支えた煉瓦展」の開催にあたって
世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は、19世紀の半ばから20世紀の初頭にかけて、製鉄・製鋼、造船、石炭産業という重工業分野において、急速な産業化を進め、日本を世界の経済大国に押し上げた過程を証言する貴重な遺産です。
「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として、中間市には官営八幡製鐵所に水を供給した「遠賀川水源地ポンプ室」があります。ポンプ室から官営八幡製鐵所に送る水なくしては、我が国の製鉄・製鋼の発展はあり得ませんでした。
遠賀川水源地ポンプ室は、焼き固めた「赤い煉瓦」と焼かずに製造した「白い煉瓦」のコントラストが鮮やかな建物です。その姿は、遠賀川の対岸からもはっきり見ることができる堂々とした佇まいです。
日本では幕末以降、産業化・近代化を象徴する建物などに煉瓦が多く使用されました。現在、煉瓦造りの建物などを見ることは少なくなりましたが、「明治日本の産業革命遺産」では多くの煉瓦建物が残されています。本県の構成資産においても、官営八幡製鐵所旧本事務所や旧鍛冶工場、三池炭鉱宮原坑といった煉瓦が使われた建物があります。
このたび、遠賀川水源地ポンプ室など日本の産業化・近代化を支えた煉瓦に焦点を当てた企画展を開催することとなりました。
展示では、「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の煉瓦や本県で出土・採集した煉瓦、その建物の写真など多数展示しておりますので、本企画展を通じ「明治日本の産業革命遺産」に対する理解を深めていただければ幸いに存じます。
最後に、今回の企画展に際しまして、ご協力を賜りました関係各位に深く感謝申し上げます。